資格の概要
手話通訳士とは、意思伝達がお互いに困難な人の間に入り、コミュニケーションをサポートするための仕事です。
主催をしているのは社会福祉法人聴力障害者情報文化センターで、毎年1回学科試験と実技試験によって行われています。
試験地は東京・大阪・熊本の三箇所で、学科試験と実技試験は同じ会場で2日連続で行われることとなっています。
受験資格は20歳以上(受験日の属する年度の3月末までに20歳に達する者を含む)となっており、その他の学歴などは特に問われません。
学科試験で問われる範囲は障害者福祉の基礎知識や聴覚障害者に関する基礎知識、手話通訳のあり方、国語といったものです。
実技試験では実際に音声を聞いてそれを手話通訳するということと、反対に手話を見てそれを音声で解答するということが問われます。
厚生労働省の調査によると、日本国内にいる聴覚・言語障害者は約36万人いるとされており、手話通訳士となることにより、そうした人たちがコミュニケーションを取っていくための手助けをしていくことが可能です。
手話通訳は資格者でなくとも行うことができますが、この手話通訳士試験は民間資格でも信頼性が高く、より正確な手話通訳ができる人材を育成することができるものとして位置づけられています。
取得によって得られる知識
手話通訳士は、手話を通じて言語や身体に障害のある人のためのコミュニケーションをサポートしていきます。
ただし通訳の現場においては非常にプライベートな内容が含まれることも多く、業務上知り得た情報を外部に漏らさないようにするという高い倫理観も求められるものです。
手話そのものについては市民講座などで修得をすることができますが、実際に通訳を職業とする場合にはそれ以外の法律や、業務上起こる問題などについても詳しく知っておく必要があります。
手話通訳士の資格を通して学ぶのは、手話の基礎能力だけでなく、そうしたプロとして活動していくために必要な知識全般です。
活用方法
手話通訳士の仕事は年々社会的に広がってきています。
1995年に改正された公職選挙法では、参議院比例区選挙の政見放送において、手話通訳試験に合格した手話通訳士を通訳として置くことができるようになっています。
その後も選挙時に手話通訳を置くことが次々に認められており、現在では政見放送では手話通訳は当然に配置されるようになりました。
その他にも公的な発表の場において手話通訳がつくことが多くなっており、プロとしての技能を備えた手話通訳士の活躍の場は広がってきていると言えます。
行政機関の窓口でも利用者の利便性を高めるために手話通訳士を配置していることも多く、社会福祉の現場全般で求められる技能なのです。